塞ぐ穴

速さを求めると早さを求める客が集まってくる。そこで少しでも遅くなると客は怒り出し、「こんなに一生懸命やっているのに、あの客は頭に来る」と怒り出す作業者・店員もいる。効率を追求すれば、多くの場合、高い効率が実現できるが、客が早さだけを求めているわけではない場合もある。客が店の作業が遅い時に、意外なことに気づくこともあるのである。それが接客の良さや商品知識の豊富さなどである場合もある。早かった場合だけの時には、客はそれに気づかなかったのである。速い店には早さを求める客が集まってくるため、聞きたいことがあっても聞けなければ、店に自分の使っている商品について聞きたいことがある客は離れていくのである。店員が自動販売機化しているのである。それなら自動販売機でも良いのである。作業を遅くして、早さを求める客を店から離れさせれば、自分の使っている商品について聞きたいことがある客は、集まってくる。店に時間的余裕が生じるからである。この場合、店員は商品知識が豊富でなければならないということになる。遅い上に商品知識も乏しいのでは市場競争に負けるだろう。後は価格競争、コスト競争を闘わなければならない事態に陥るのである。そうなれば、より速くなければならないはずである。早さを求める客が入ってくる くる穴を塞いでしまったらどうなるのだろうか。

老子はいう「其の穴を塞ぎ、其の門を閉さば、身を終うるまで勤れず。其の穴を開き、其の事を済さば、身を終うるまで救われず」と。

このように考えた場合、経営が成り立つのであれば、客は集めるだけではなく、離す必要もあるのである。不謹慎ながら手放す客もいるのである。高い料金設定の店は、高効率ではない場合が多い。客数は少なくても単価が高いのである。

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