「先ず隗より始めよ」
仕事のできない者を自分の職場に迎え入れている者は多い。しかし、それは受け入れていることと同義ではない。会社が仕事のできない者を自分の職場に配置しているのは、自分に嫌がらせをして辞めさせようとしているとも受け取れるが、優秀な者を世に募っているとも考えられるのである。
「あの人が雇われているのなら、私も雇ってもらえるかもしれない」と発想する優秀な者が世の中にいるだろう。優秀であるということは、必ずしも自信家であるということではないからである。
自分が仕事のできない者を受け入れれば、会社が優秀な者を募っているということに貢献することになるものの、受け入れなければ、会社が優秀な者を募っているということの足を引っ張っていることになる。
「不善人も善とする」とは迎え入れることではなく、受け入れることである。迎え入れるだけで良いのなら、「不善人も善とする」と表現する必要はない。
このように考えると、外国人を嫌う文化を持つ日本国が世界の頂点に立つことはないのだろう。なぜなら、世界の頂点に立つには、外国人を迎え入れるのではなく、受け入れなければならないからである。世界の頂点には、政治的な頂点と経済的な頂点がある。
兵どもが夢の跡
老子はいう「善なる者は吾れ之を善しとし、不善なる者も吾れ亦た之を善しとす」、また、いう「是を以て聖人は善く人を救う、故に人を棄つること無し」